(2015.1.8 北限の茶を守る気仙茶の会ブログより)
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陸前高田のお正月には、羊羹を手づくりして用意する、と、あちこちでお聞きしました。
お正月以外でも、冠婚葬祭や、何か人が集まる機会に、羊羹を作る方がいらっしゃることを知りました。
高田の方が作った、手づくり羊羹をいただいたことが何度かあるのですが、どなたの羊羹も、とてもおいしいのです!
実のところ、私は羊羹が苦手でした。手づくり羊羹をいただいた時、ものすごく大きく切り分けてくださって(ああとてもこんなに食べられない)と思ったのに、すっきりしたほどよい甘みと美味しさに、ぺろりといただいてしまったのでした。あんなにおいしい羊羹は、生まれて初めてでした!
この度、お正月にちなんで、手づくり羊羹のお話もいろいろお聞きしてみました。
〇今でも、小豆を作っている親戚は、羊羹を作っている。昭和30年代、結婚式、披露宴を家で行っていたあたりは、各家庭を回って作ってくれた職人さんがいた。よっかちんさんと言っていたね。(菊池司さん)
〇おばあさんが、正月用に、自家製のあずきを使って作った。主人の母も毎年作った。いろんな話をしながら、時間をかけてかき混ぜて、練りあげました。家の中で、糯米を蒸かす匂いと、あんこの匂いがまじりあっていたのが、年の暮れのにおい。今は、お正月、というのが、意味が薄くなっている気がします。昔は、時間をかけてごちそうを準備したもの。今は、いつでもごちそうが手に入るし、忙しくなってしまったね。(武蔵裕子さん)
〇年末から、こしあんを作って羊羹を作る。練炭の火にかけて、時間をかけて練り上げたね。練っている間は、ラジオを聞いたり、本を読んだりして過ごしたもの。今でも、電気ヒーターにかけて、作ります。(村上フミ子さん)
〇子供の頃、母がさらし餡を作っている時、間違って、揉みだした方を捨てそうになって、ものすごく母が焦っていたのを覚えている。(照井由紀子さん)
〇内陸から嫁に来て、おばさんの作る羊羹の美味しさに感激した。練るのは、力が要って大変なの。自分も作ってみたけれど、なかなかうまくできないものだっけ。(菊池文子さん)
〇羊羹ってお家でつくりませんか?たぶんこの辺りではどこの家でも作ったのではないかと思います。私の母は他県から嫁いできましたが、それでも子供のころ作ってくれて、あんこ好きの私は母の作る羊羹が大好きでした。隣のおばちゃんからもいただいたことありますし…。母を真似て私もたまーに作ります。手間がかかるので気が向かないとやりませんが。なんでも自分ちで作るのが当たり前・・・そんな時代だったもの。と皆さんお話されますので、羊羹くらいは作ったのではないでしょうか?(阿部裕美さん)
こうしてお聞きしてみると、ゆべし、は、お菓子屋さんで買っても、羊羹、は、今でも家で作る、という感覚の方が多いように思いました。
「羊羹ってお家でつくりませんか?」と逆に質問いただきましたが、うーん、私も実家でも、水ようかんは作ったことがあるけれど、羊羹は、ないですね・・・。いかがですか、皆様のところでは、「羊羹って、お家で作るもの」ですか??
陸前高田の家庭では、高い技術を伝承しながら、手間暇のかかる菓子を作ってきたのだなあ、と改めて感じ入ります。ゆべし・がんづき・羊羹を手づくりし、お茶も手もみし、その他さまざまな暮らしのことを、技術と知恵で作りながら生きていらしたのですね。そして、時間と愛情。とびきりおいしい羊羹が出来上がるのは、技術+時間と愛情を惜しみなく注いでいるからなのだろうなあと、改めて思います。
また、手もみ茶でもそうでしたが、それを専門にして家々に出向く職人的な人もいたのですね。興味深いです。
羊羹のお話と合わせて、高田の年越し、お正月のあたりのお話も教えて下さった方がありました。
〇羊羹、ゆべし、がんづきは、冠婚葬祭、盆正月の気仙のお菓子です。昔は自宅での手作りをしたものです。今は、お菓子屋さんのを買う事が多いと思います。どういう字を書くのかは解りませんが、「おようり」と言うようです。
この辺りは、おせちも無く、31日の、「年越し膳」が派手です。海の幸、川の幸、山の幸、それぞれ親戚との物々交換や、「詰市」5の市ですがその日に買って仕入れます。
お正月は、一関と同じ「餅膳」です。色々な味の餅を、たべます。お雑煮は引き菜といって、だいこん、ごぼう、ニンジンを千切りにして寒にさらし、雑煮にします。(戸羽初枝さん)
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仮設住宅でのお茶っこ会でも、羊羹のお話はたくさん出ました。
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・2015.2.25 米小仮設にて
まずザルで濾して、(ただ袋さ入れるとカスばり残るから)まずザルで皮とツユとにする。あのね、笑い話、ツユ捨てた人ある(笑)。皮ばりで羊羹なんねえのす~。
ツユはボールさ残っから。それを袋さ入れて、そうせばあんこが残るから。
ツユだけしぼって、羊羹こねる鍋さ、砂糖をとかすわけ。そいつさあんこ入れて。二時間ぐらい(練る)。
棒寒天。うるかしておいて、千切って、水いれておいて、弱火で、形なくなるまで、そこで初めて砂糖いれるんだよね。寒天は最初砂糖も何も入れないうちに溶かす。混ぜてしまっては、はあ、溶けない。ある程度、最低の水で溶かしてね。砂糖入れてしまうと絶対(ぜってえ)溶けねえ。
最後に塩、いれないの?最初っから入れると焦げやすいのね。塩は火ぃ止めてから。
(こちらの羊羹は、大きく切りますよね?)バットによる。
ザラメの方が、味が出る。2対1くらいで白も入れる。白だけでは甘み出ない。
・2015.2.25 米中仮設にて
Sさん こんな鍋で、7分目くらいのとろとろづう羊羹を、だいぶ煮詰めるからね。三時間もこうやって。長いヘラで。(ヘラが長いのは)熱いから。
バットさ流すでしょ。バットを、子供さこう揺すらせるの。うんと煮詰めるからどろっとなって固まって。こうして練って練って。
-県内いろいろ回っても、羊羹作るづうところはないですよ。
結局、小豆が採れるからね(でも、県北でもあるもの~小豆餅あるもの~)
一升の小豆の餡にね、寒天は六本。1本さ水2合。12カップ。そやって、それさ餡いれるとサラサラと。皿さ水おいてて、練ったへらのをたらすのね、たらした案がふやふやってふやけるとまだ早い。水に落って固まったらいい。ぐーっとかます。
自分が苦労して作った羊羹だから、どがどがとして切って、はいはいはいはい、とやんのは、悔しいの。歯ごたえがほしいの。バットの一本ずつを親戚さやんだよ。お客さんさ出す時、がっぱがっぱとこんなに切るの。そうするとね。あのぐらい苦労して。大事に扱ってもらいたい、って気があるの。他所さいくと、悪いけど、もっと柔い羊羹ある。
Yさん わたしそれも好きなの。
Oさん 砂糖多く入れるとさ、はしっこ白くなんの、あれが好きなの。
Yさん 私は寒天は溶かして絞ってからやんの。それからあんこ入れっから。
?さん 母のやり方だから。家々あんの。
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家々で、いろいろな作り方、いろいろな味わいがあるのですね!自分でも作ってみたくなりました。