人気ブログランキング | 話題のタグを見る

気仙茶聞き書きおまけ編~気仙のお茶っこ飲み民俗学~

kesenfolk.exblog.jp
ブログトップ

しづけけえこ(躾稽古)

◆躾稽古(しづけけえこ)

・この辺では、伊達藩の「しづけけえこ」(躾稽古)っていうんだけど、そういう文化が残ってるんです。作法の、小笠原流のね。代々やってる家で、その人達が、躾稽古(しづけけえこ)、って作法と一緒に、料理も教えて歩いたんです。だから【冠婚葬祭の】家の料理には、みんな袴履いた「中座(ちゅうざ)持ち」ってね。「お召し上がりください」とか「お控えください」とかって司会役をやって。
作る人は行って作ったりね、そういうことする文化。ゆべしも羊羹もがんづきも、作る方がいて、昔の、昭和の二十年代三十年代は、その人を頼んできて。はい羊羹つくる、はいゆべし作る、はいがんづき蒸かすって。よかちんさんという人は最後までやった方だけど。踊りっこ踊るんだでば「はよっかちん、よっかちん」ってね。料理その人頼んでたから、必ず婚礼にも出るでしょ。
・昔は泊りがけで練習したもんです。母親のおじんさん【おじいさん】がわかってた。一週間から十日くらい、その地域に泊まって、作法教えたり。水引のやり方とか、たたみかたとか。かあさんのおじいさんがやって、よく語ってきかせられた。
買うもんじゃなく作るもんだってね。同じお金で、買うより作れば大きいのができるでしょ。手間暇かけてやるということ。
・【躾稽古では】作法と、謡、高砂とか四海波とか、料理と、ややもすれば踊りまで。座敷踊り。よくやってるのは、「おいとこ」なんか。
昔、専門のお稽古の教室がないから、そういう人を頼んで、農閑期に、一週間どこそこの家に泊まって、みっちり教わろうって。「しづけがたけいこ」って男の人ね。
・女の人達もやった、わたしたちは。礼の仕方もいくつかあって。
・まな板があってね、こういう魚の作り方もね、母の実家にありましたよ。伊達藩のハンコを付いた。免許皆伝だったんですね。おらはそんなので飛行機作って遊んだがねえ。【その文書が】かごに入ってありました。そういう人が町内に一人か二人かいて、お振る舞いの時、迎えるから「本日は」から始まってね。高砂終わってお膳だ、となっても、その人言わなきゃお膳運べなかったのね。
・中座持ちに従って、下回りの人は動かなきゃねえの。
うちのお父さんは、全部食べ上げて、「すいません、お茶ください」って言ったのね。「ちょっとお待ちください。みんな召し上がるまではお待ちください」終わったらこう見て「ただ今よりお茶を差し上げます」ってね。自分が飲んでみて、ちょうどいいなら「ちょうどいい湯加減ですから、どうぞお召し上がり下さい」ってね。
・中座持ちは腹減っててやれってね。婚礼に来る人達お腹すいてるから、中座持ちお腹一杯だと気持ちわかんねえから。(米中仮設にて)
# by kesencha-minzoku | 2016-03-01 11:33 | 習慣・風習

観音講・精進講・山の神講・ジョウヤ

◆観音講・精進講・山の神講

・観音講と言って、ガガ様【奥さん】どが集まって、煮たり焼いたりする。
八日泊まった。ジョウヤずうとこがあってそこに。仕事しないで、飲んだり食ったり。
今は自然となくなった。(米小仮設にて)
・お精進講。「オショジンコ」って語んだけどね。
私たちの世代が最後。昭和三十年代。私たちが小学校の低学年くらいまで。年配の人達は後もやってたの。子供はやめたの。年配の年寄と、ががさまグループと、若妻と、子供たちで、日が全部違って。年寄(としょ)りはほら、嫁の顔見なくて済むし、若妻だって年寄(としょ)りの顔見なくていいし。そういう場だったの。名目がオショウジンコだったのね。
三日ぐらいしてました。ぎっちりやるんですよ。年寄りは泊まんないけど。
子供だちだけはなぜか泊まって。先輩だぢから、「こう料理すんだぞ」とか、やれとか、こう上下関係教えるんだっけ。中学校には【その年代になると】もうはぁ、ご飯は作れてるから。米と野菜と薪は持ち寄ってね。そして調理。ジョウヤってとこに私たちは泊まったの。
中学校三年生が頭になって。そして小学校一、二年は、寝しょんべんたれたり泣いたりするから帰る子もいるけど、泊まってもいい。ふとん持ってく。囲炉裏があるから温かいの。二十人くらい。各地区で。矢の浦(だ)と私たち【獺沢(うそざわ)】は別。合わせて一つの大きな公民館はあるんですよ、でも、別々の一つずつのジョウヤってのがあって。私たちの時、冬休み【にやった】。子供会ってあったからさ、冬休み行事あったんだよね。我々これ子供会行事としてやったからね。(米中仮設にて。小友町獺沢での子供時代のお話。)
・我々は十年くらいやったのかな、山の神講ってね。子供たち連れてきてね。こんなな小さい子どもたちも連れて来てね、若妻と。年寄りと。子育てについて話聞けるからね。私たち、やさしいから、赤ちゃんある人達あまり動かせないで、働ける人動いて。子育てしてる人は常に動いてるから、休ませたの。二十代から四十代全般くらいだね。保育園の子供有れば連れてくる、一年生くらいの子供あれば連れてくる、そして飲んだり食ったりしてね。夜十時頃までやったのかな。ま、何もないから。こたつさ入ってね。二月の十一日。仕事がない時期にやったのね。そして、珍しいものそこでは作ったりして。部落からお金でるから。そこでは、部落でこういうことやんねばなんねえよお、ってまた教えるわけ。
・浜人(はまど)の人達やってんだよね、男の人達ね。一月の十六日だったか。観音講。釜の蓋も開くってね。
・餅おいて、こうしてあぶると、お煎餅ができるの。煎餅機械【煎餅焼き器】持ってね。
「あの、もうしわけないけどあれ貸してけらっせん」って一軒に一つしかないそれ借りてきて、餅っこ、これくらいに切って、こうして合わせっと、煎餅ができるのね。
だから、その家さ行って借りると、家も覚えっがすと。(米中仮設にて)
# by kesencha-minzoku | 2016-03-01 11:31 | 年中行事

おら家のお茶っこ!

おら家のお茶っこ!_c0357615_13153432.jpg
気仙茶の聞き書き集「おら家のお茶っこ」は、「北限の茶を守る気仙茶の会」(以下、「気仙茶の会」と書きます)が作った、聞き書き集の冊子です。

このブログは、気仙茶の会会員で、聞き書き集の編集を担当した前田が、個人的にこぼれ話など書いていくブログです。

このブログについて、は、こちらをご覧ください。→
気仙茶の聞き書き活動の特徴や、私の聞き書きについての考え方、は、こちらをご覧ください。→

気仙茶の会では、陸前高田・大船渡を中心に、地元の方々に読んでもらえるような場所に無償配付するほか、ご希望の方々には有償配付をしています。(2015年4月4日現在、単価、発送方法、お支払方法など詳細はまだ決まっておりません。後程お知らせします。)

ご希望の方は、090-2999-2154(前田)または、kesencha*excite.co.jp(*を@に代えてください)というメールアドレスまでご連絡ください。

(この記事が一番上に来るように、未来の日付で投稿しています。ご了承ください。)
# by kesencha-minzoku | 2015-12-31 13:10 | 気仙茶の聞き書きについて

聞き書き集「おら家のお茶っこ」販売中です!

しばらく更新せずにおり、申し訳ありません。
聞き書き集「おら家のお茶っこ」は、現在、販売中です。
陸前高田市内と大船渡市内、盛岡市内など岩手県内の一部書店で販売しています。
定価は、(1500円+税)なので、現在1,620円です。
遠方の方には、北限の茶を守る気仙茶の会(kesencha*excite.co.jp、*を@に代えてください)から直接発送もいたします。
在庫僅少ですので、ご入り用の方はお早目に書店にいらしてください。

販売店は次のとおりです。

陸前高田市 伊東文具店
         一本松茶屋
大船渡市 ブックポートネギシ猪川店
       ブックボーイサンリア店(完売)
       ブックボーイ大船渡店
花巻市東和町 にっち
盛岡市 さわや書店
      shop+space ひめくり
以上です。
# by kesencha-minzoku | 2015-09-09 19:49 | 気仙茶の聞き書きについて

へびむかで

へびむかで。広田水産グランド仮設住宅さんにお邪魔して、初めてこの言葉を聞いた時には、なんなんだろう????とびっくりしました。

小正月の風習だそうです。

・小正月に。らっつぉくを燃やして、煙を足だの、頭だのね、へびむかでにかれないようにってなあ。(広田町YKさん)

・正月に「へ~び~ むかでに かれない ように、虫けら~に~ さされないように」ってやったんだ。(広田町KKさん)

へ~び~むかでに♪ は、節とリズムのある歌になっています。
(聞き書き集には楽譜を載せています)

ところで、皆様は、「らっつぉく」はわかりますか?
私は、高田に通うようになって知りました。
初めて出会ったのは、お盆の頃の、スーパーマイヤ竹駒店でした。
入口すぐのところに、山と積んである、木の束のようなものの名前が「らっちょく」。
初めて見る言葉でした。

これは、苧殻(麻の皮をとった幹のところ)を短く切って、先に赤く着火剤をつけたもので、迎え火を焚く時に使うのだそうです。盛岡の我が家では、カバ(白樺の皮)を焚きます。地域によって焚くものが違うとは、知りませんでした。

らっちょく、について調べてみると、こちらのページが見つかりました。
こちらによると、蝋燭(ろうそく)の古い呼び名。平安時代頃までは、らっちょくと言われていたそうです。

また、岩手の民俗芸能の雑誌「とりら」のblogでも、らっちょくのことが書いてありました。
大船渡の盛の市日でも売っているのですね。お盆を迎えるにあたって、なくてはならないものなのですね。
# by kesencha-minzoku | 2015-04-20 10:41 | 習慣・風習