気仙茶聞き書きおまけ編~気仙のお茶っこ飲み民俗学~

kesenfolk.exblog.jp
ブログトップ

カテゴリ:気仙語( 4 )

ひして・ひすとい

ひして・ひすとい、もよくお聞きする言葉です。
ひしてでもやる。とか、ひすといなんかで終わらない。とか。
調べてみると、やっぱり古い言葉なのですね。

(意味)一日。一日中。

(用例)
・(手もみ茶づくりの時は)それを繰り返して三日くらいやんのさ。今は、ひしてで終わり。

(解説)ヒシテはヒストイともいいます。
気仙郡語彙集覧稿(以下「語彙集」という。)では、日一日という漢字表記を付しています。
終日。一日。ヒヒテともいうそうです。
隔日をヒシテオギ(日一日置)というとのこと。

ヒシテは日一日(ひひとひ)の語尾を落としてヒヒト、ヒヒテに変化して、更にヒシテ」に変化したといいます。
日一日(ひひとひ)の用例を、平安時代の「土佐日記」から挙げています。

日一日、が残っている言葉は、全国各地にあるようです。ちょっと検索しただけでも、鹿児島、対馬(長崎)、熊本、讃岐(香川)、伊予(愛媛)、栃木、宮城、など出てきます。
南の方では、隔日はヒシテガイとなるとのこと。
[PR]
by kesencha-minzoku | 2015-04-20 09:45 | 気仙語

ママ

「ここらのお茶は、畑でなく、ママに生えてるの」と、よく聞きます。はじめは、「ママって???」と思いましたが、すぐに、段々畑の斜面など、草の生えている畦畔や土手のことだとわかりました。実際、気仙のお茶の多くは、そういうところに生えていますので。

聞き書き集のミニ気仙語辞典から転載しましょう。

************************************************************
◆ママ

(意味)畦畔。土手。

(用例)
・お茶畑―畑なかったんだから、ママだったんだから―
・ママは雨で崩れて。だからこんな急になったんだ。

(解説)語彙集には「草の生えている畦畔。草の生えている傾斜面のある土手。」とあり、用例を『万葉集』(一〇)の「石橋の間々に生ひたるかほ花の花にしありけりありつつ見れば」を挙げている。この場合の間々は崖の意といわれている、とのこと。
************************************************************

ママ、は、万葉集まで遡る言葉なのですね。
盛岡あたりでは使わない言葉ですが、古い言葉が気仙には残っているのですね。
[PR]
by kesencha-minzoku | 2015-04-18 11:51 | 気仙語

どーだれこーだれ

(気仙郡語彙集覧稿より)

ドーダリコーダリ・・・目茶苦茶に。〔例〕ドーダリコーダリ やっつけてた」。

聞き書きで出てきた用例(気仙町Mさん)

(茶を)摘むったって、ぼっかけてって摘むんだから、どーだれこーだれなんのす。だから『邪魔だから行け』語られんの。


子供の頃、大人のする茶摘みを自分もしたくて、茶畑に行き、大人の真似をして摘んだというMさん。
でも、どこを摘んだらいいか、わかってないから、「どーだれこーだれ」になっちゃうんですね。
そうして、仕舞いには、邪魔だから、帰れ!って言いながら、大きな飴玉をくれる大人たち。
それがまた楽しみな子供たち。
飴玉を口に頬張りながら、勢いよく茶畑からの山道を駆け下りて行った子供たちの姿が、見えるようです。
[PR]
by kesencha-minzoku | 2015-04-08 08:24 | 気仙語

うだでぁでなぐ

気仙町Mさんの聞き書きより

「(茶の木の剪定を)うだでぁでなぐにやったんだ」

うだでぁでなぐ?????

どんな意味でしょう?気仙郡語彙集覧稿を引いてみました。
うだでぁな という見出し語で、載っていました。

***********************************

うたてやなの転。いやだ。気持ちが悪い。見るに耐えない。すべて気分の悪しきものへの感動忌避の詞。普通ダッデァナという。

**************************************

なお、この言葉は、「古事記」「万葉集」にも遡るようである。再び、気仙郡語彙集覧稿より。

***********************************
『古事記』上 「猶其悪態不止而轉」,
『万葉集』(12)「何時ハナム,恋ヒズアリトハ,アラネドモ,得田直コノゴロ,恋ノ繁キモ」
とある。
うたては,意志にかかわらず心情がどんどん進む,不快な感情が次第に募るをいう。
『名義抄』に「漸轍転,うたた」とある。気仙のウタデァはこれらの得田直,轉の転。
********************************************

実際、うだでぁでなく、とおっしゃっていたのを考えると、
見出し語は、「うだでぁ」、の方がよかったようにも思います・・・

ところで、「うだでぁ」は、青森、秋田でも使われる言葉のようです。
古語が一部地域に残っている、という例ですね。
岩手でも、他地域ではよく使うのでしょうか???
[PR]
by kesencha-minzoku | 2015-04-05 08:59 | 気仙語