「ここらのお茶は、畑でなく、ママに生えてるの」と、よく聞きます。はじめは、「ママって???」と思いましたが、すぐに、段々畑の斜面など、草の生えている畦畔や土手のことだとわかりました。実際、気仙のお茶の多くは、そういうところに生えていますので。
聞き書き集のミニ気仙語辞典から転載しましょう。
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◆ママ
(意味)畦畔。土手。
(用例)
・お茶畑―畑なかったんだから、ママだったんだから―
・ママは雨で崩れて。だからこんな急になったんだ。
(解説)語彙集には「草の生えている畦畔。草の生えている傾斜面のある土手。」とあり、用例を『万葉集』(一〇)の「石橋の間々に生ひたるかほ花の花にしありけりありつつ見れば」を挙げている。この場合の間々は崖の意といわれている、とのこと。
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ママ、は、万葉集まで遡る言葉なのですね。
盛岡あたりでは使わない言葉ですが、古い言葉が気仙には残っているのですね。